「司法取引」は、刑事事件の被疑者・被告人が、罪を認めたり、事件の捜査に協力(共犯者の情報を教えるなど)する代わり、検察官が罪状の一部を取り下げたり、求刑を軽くしたりする制度です。その目的として、裁判の負担を軽くできることがあげられます。司法取引をすると、審理内容を簡略化したりできるのです。けれども問題もあります。ほんとうは無実なのに、検察官に「裁判になったら無罪になるとは限らない」とおどされ、泣く泣く有罪を受け入れてしまう「えん罪」が生まれやすいのです。
アメリカの裁判では、検察官や弁護人の弁論の善し悪しが陪審員の心証を左右することも多いので、優秀な弁護士を雇えない社会的弱者(貧しい人や、不法入国者など)が、まちがった司法取引を受け入れやすいともいわれます。テレビの法廷ドラマでは、社会正義に燃える弁護士がいわれのない司法取引と戦うシーンがよく出てきますが、現実はそうではないのかもしれません。
友愛会クラブってなんでしょう? 日本ではまったく耳にしない言葉ですね。アメリカの大学では、多くの学生が寮生活をしますが、そこでの社交を目的に作られた組織のことです。英語では男子の友愛会クラブを「フラタニティ」、女子の友愛会クラブを「ソロリティ」といいます。
起源については、共通の信仰や社会的地位を持つ者だけが入会できる「秘密結社」だという説が有力です。実際、入会にあたって儀式が行われたり、暗号や秘密のパスワード、あいさつがあったりする例も多いようです。名前も伝統にのっとって、アルファ、ラムダ、シグマなどギリシャ文字をつけることがほとんどです。
会員は在学生だけでなく、卒業生もふくまれる場合も多く、社会に出てからも強い結びつきを保つこともよくあります。日本の大学のサークルとは、規模も結束のしかたも、まったくちがうものなのです。
※『誘拐ゲーム』訳者あとがきより一部抜粋改稿