少年弁護士セオの事件簿特設サイト


セオの物語はこうして誕生した

 『セオドア・ブーン』のアイデアは、今までの私のほかの作品と同じように生まれました。つまり、大きくて難しい社会的問題に好奇心を持ち、それに挑戦する気持ちを、物語にのせて読者に伝えたいというのが原点です。
 いったん書き始めて、アイデアと構成がまとまると、両方がうまくかみ合って、良い作品が形づくられてきたと思います。しかし、今なお、まだ果たしていない難問への挑戦は続けています。

13歳の主人公という設定について

 私は子育てをとおして、子どもたちが10~12歳の頃に何を読んでいたか、何を考えていたか覚えています。私自身、自分の13歳の頃をよく覚えています。人生の中でもっともよく記憶している年齢だともいえるでしょう。
 だから、主人公セオは13歳としました。1巻目以降も、セオは13歳のままにしておこうと考えています。

本書の結末について

 読者である子どもたちには、なによりもまず物語を楽しんでもらいたいと思います。法廷を舞台にしたサスペンスストーリーで読書を楽しむことを覚えたら、子どもたちも本書から法律に関しての何かしらのことを学んでくれるでしょう。
 また、この作品では、犯罪事件においては、「『無罪』の推定の原則がはたらく」ということを学んで欲しいと思います。なぜなら私たちは皆そのことを忘れがちだからです。
 本書に登場するセオの活躍を読んで、ニュース番組などで、事件について軽率な判断で報じられていることをうのみにしない力を身につけてくれればと思います。

セオの次回作について

 1巻の殺人事件の結末は、個人的には満足していますし、うまくいったと思います。難しい問題への挑戦でした。
 結末をうまく終わらせるため、第1作目では殺人事件の裁判の場面を中心に取り上げました。しかし、第2作目では……。
 2巻は、前作とは異なる舞台設定をし、異なる登場人物を出すことで、異なる緊張感を生まれさせる予定ですが……まだはっきりとは言えません。そして同時に、前作の殺人事件の裁判が、大きな伏線となるでしょう。今言えることはこれだけで、あとは秘密です。

グリシャム氏の少年期の愛読書

 私が好きになった最初の本は、「ハーディ・ボーイズ」シリーズ、チップ・ヒルトンのスポーツシリーズ、クレア・ビーンの本などの20冊か25冊くらいです。10歳か11歳の頃でした。チップ・ヒルトンはスポーツの大スターでした。その本がなかなか手にはいらなかったので、同じ本を何回も何回も読んだものです。
 そして12歳の頃に、トム・ソーヤーやハックルベリーフィンを読みました。私はマーク・トウェインに夢中で、今なお彼のファンです。